カンピロバクターは細菌性の食中毒を引き起こす原因菌の一つで、日本国内ではノロウイルスに次いで感染事例が後を立たない厄介な存在として恐れられています。
今回はそんな食中毒の親玉的存在であるカンピロバクターの主な特徴と、感染予防時の注意点等についてご紹介致します。
特徴と感染時の主な症状
感染者本人の周囲の人間を巻き込む事の多いノロウイルスと異なり、カンピロバクターの場合は集団感染を引き起こす割合は比較的低いとされているのですが、それでも感染力自体は大変に強いようで、ノロウイルスと同じく少量の菌が体内に侵入しただけでも感染症を発症する怖れがあるとされています。
また、子供やご老人等、免疫力の弱い人の場合は重症化し易く、最悪の場合は敗血症を併発する可能性が高いとされています。
症状
症状としては下痢(時折血が混ざる場合も)や嘔吐、発熱や頭痛、倦怠感等が挙げられます。
潜伏期間や治癒までの期間
潜伏期間はそれなりに長めで、およそ2~5日間程度とされています。
また、一般的には発症から1週間程度で治癒する傾向があります。
感染時の対処法
ほぼ根本的な対処法が無い厄介なノロウイルスと違って、ある程度症状を和らげる薬を病院で処方して貰えますが、下痢による衰弱を防ぐ為に療養中は脱水症状と電解質不足を補う為の対処を取る必要があります。
※参考記事:もしもノロウイルスに感染したら『水分補給編』
流行時期や感染経路は?
流行時期
冬場に猛威を振るうノロウイルスとは異なり、カンピロバクターは主に5~7月頃の初夏及び10月頃の行楽シーズンにおいて感染事例が多く発生する傾向にあります。
また、日本国内においてもカンピロバクター感染症は食中毒の主要な原因として目を見張る程の発生件数を誇っていますが、発展途上国では大変にありふれた病気のようで発生事例も日本の比では無い程に多く、そういった国への旅行者がカンピロバクターに感染してしまうリスクも相応に高いと言えます。
感染経路
カンピロバクターは一般的な家畜であれば大抵は保有している腸内細菌ですので屠殺した家畜を解体する際に腸内の菌が食用部分にも付着してしまうケースが多く、市場に出回っている食肉の大半にはカンピロバクターが付着していると考えられています。
その為、生の食肉を扱った際の手指や調理器具の洗浄が不十分だったり、これらの食肉を生食、或いは十分に加熱出来ていない状態で食べた場合に感染するリスクが高いとされています。
とりわけ鶏は飼育場において糞や飲み水等を介して鶏同士で感染が拡大していく傾向があり、その為に鶏肉にはカンピロバクターが付着するリスクが他の家畜の場合よりも特に高いとされています。
また、汚染された生水や生の牛乳等を飲む事でも感染する怖れがあるのですが、こういった飲み物を介するケースでは集団感染が起こり易い傾向があります。
カンピロバクターから身を守るには
頑強な耐性を誇るノロウイルスと違ってカンピロバクターは微生物に分類される存在である為、熱や乾燥、各種殺菌処理に弱く比較的予防がし易いので、是非以下の点に注意して感染のリスクを回避していきましょう。
予防法
- 主に生肉、特に鶏や牛レバーは十分に加熱処理をする。
- 生肉を調理した手指や調理器具は十分に洗浄して殺菌する。
出来れば生肉の調理用とそれ以外の食材の調理用のまな板は分ける。 - 生水は飲まない。
- 牧場等でその場で絞った生の牛乳を飲むのは控える。
- 動物(特に鳥類)の糞の処理をした後は石鹸を用いて入念に洗う。