ノロウイルスの対策予防『殺菌・消毒編』

ご家族にノロウイルスに感染してしまわれた方がいらっしゃる場合、他のご家族への二次感染のリスクを減らす為には、ノロウイルスに対しての徹底的な殺菌や消毒作業が重要になってきます。

今回はそういった殺菌・消毒作業を実践する上でのポイントをご案内します。

殺菌・消毒の重要性

160114_01b

ノロウイルスはそのしぶとい生命力や強力な感染力、加熱処理や一般的な消毒薬への強い耐性、接触感染から空気感染までをフォローする幅広い拡散性等、普通の細菌やウイルスを大きく上回るステータスを備えており、ある意味パーフェクトとも言える非常に逞しい生態を持っています。

そんなノロウイルスにご家族の誰か一人でも感染してしまおうものなら、そこを足掛かりにしてノロウイルスはそのまま一気にご家族全員へと感染を拡大する勢いで家屋の中の至る所に生息場所を広げてしまい、接触感染や空気感染の機会が蔓延してしまう事になってしまいます。

ノロウイルスのそうした猛進撃を阻み、ご家族の健康を守る為には、既に家の中に潜伏してしまったノロウイルス達を効果的に殺菌・消毒していく事で、家の中における感染リスクを徹底して減らしていく必要があります。

殺菌・消毒時のポイント

消毒液について

ノロウイルスの対策予防『ご家庭や職場での掃除・清掃編』のページでも紹介したように、ノロウイルスは一般的なアルコール殺菌に対して強い耐性を備えておりますので、そういった類の消毒薬はノロウイルス対策においてはあまり役に立たないのです。

そこで用いる事になるのが「次亜塩素酸ナトリウム」という成分を含むタイプの消毒薬です。
この「次亜塩素酸ナトリウム」に対してはノロウイルスはあまり耐性を持っていない為、これを用いる事で比較的容易に殺菌する事が出来るのです。

ただ、こうした特殊な消毒薬は主に専門業者が使う業務用のものが殆どですのであまり一般には手に入れにくい為、ハイターやミルトンのように一般的に入手しやすい次亜塩素酸ナトリウムを含んだ塩素系漂白剤等を用いて、それを水で薄めたもので消毒液を作る事である程度代用して頂く事が可能です。

殺菌・消毒作業時のコツや注意点

実際に殺菌・消毒を行う際のポイントとしては、消毒液を目当ての箇所に吹き掛けた後にすぐ拭き取らず、消毒液の殺菌効果がノロウイルスに浸透するまでの間はしばらく放置しておくようにするのが効果的です。

また、雑巾等を用いてしまうと、ノロウイルスを拭き取った場合にその雑巾自体にウイルスが付いてしまいますので、それで他の場所を拭いてしまうと却ってノロウイルスの居場所をあちこちにバラまいてしまう事になりかねませんので、出来ればペーパータオル等の使い捨てのものを用いて、掃除の途中で定期的に交換していく事が望ましいです。

また、カーペットや畳等に盛大に嘔吐してしまった場合の殺菌方法としては、まずペーパータオル等の使い捨てのものを用いて嘔吐物を拭き取った上で、消毒液にひたひたになるまで浸したクッキングペーパー等を目当ての箇所に被せて、しばらく放置してその箇所を殺菌するのが良いでしょう。

※殺菌・消毒時に用いる塩素系の消毒液は直接触れると肌を痛めてしまうので作業を行う際は必ずゴム手袋をして下さい。また、塩素系の洗剤を使いますので作業時は換気にも注意しましょう。
更に、嘔吐物等を掃除する際はそれらからの空気感染による二次被害を防ぐ為にマスクを装着するようにして下さい。

食器等にも要注意

ノロウイルスに限らず一般的な菌やウイルスは台所洗剤による水洗いだけではなかなか落としきれない為、感染した方が使用した食器等を洗う際にいつもと同じ感覚で洗って済ませてしまうのは危険であると考えられます。
それらの食器に対しては、熱湯等を使った煮沸消毒や、あるいは高温洗浄が出来る自動食器洗い機等を用いて、ウイルスを不活性化出来るような洗い方で対応する事が望ましいです。

嘔吐物の恐ろしさ

ノロウイルスに感染した方はその症状として激しい嘔吐に悩まされる事になるのですが、その際、吐き出された嘔吐物には非常に多くのノロウイルスが含まれています。
これはノロウイルスが人体の小腸で増殖する生態を持っている為、小腸から胃まで這い上がってきたノロウイルスが胃液の中に大量に混ざってくるからなのですが、実はこの嘔吐物、対処を誤ると空気感染のリスクを激増させる非常に厄介な代物です。

かつてニュースでも一時話題になった事のある事例なのですが、とあるホテルの結婚式会場にて、三百数人の参加者が一斉にノロウイルスに感染してしまった事がありました。
その原因となったのが、結婚式の10日間以上も前にその会場のカーペットの上でとある感染者の方が嘔吐してしまっていたのですが、清掃の際にカーペットの上の吐き跡に対して徹底した殺菌・消毒を行わなかった為に、乾燥した吐き跡から舞い上がった粉塵に紛れてノロウイルスが空気中を漂い始め、ついには会場内の空気中全体に蔓延するようになってしまい、その後に会場に訪れた参加者の方々に牙を剥いたという訳なのですが、ウイルスは細菌と比べて非常に軽い性質を持っている為、乾燥した状態の場合は容易に空気中を漂う事が出来るようになっている為に、こうした事件が発生し易いと考えられています。

もしご家庭の中で感染者の方がもどしてしまった際に床や衣服等に嘔吐物やその飛沫が付いてしまった場合は、単に水洗いするだけでは不十分ですので、消毒液を用いた殺菌処理や、熱湯を用いた十分な消毒を行う必要があります。

感染した人の糞便は更に恐ろしい

ノロウイルスに感染した方の糞便に含まれるウイルスの数は、嘔吐物のおよそ1000倍程もあると言われていますので、それがもたらす接触感染や空気感染のリスクは嘔吐物以上に高いと言えます。

感染した方は吐き気と合わせて激しい下痢にも襲われ続ける事になりますので、トイレ周りは勿論の事、下痢中は汚し易くなると思われる下着や寝床のシーツ等への殺菌・消毒も当面は随時行っていく必要があります。

また、感染してしまわれた方がトイレで排泄した後に水で流す際は、排泄物を含んだ便器の中の水の目に見えない程の細かい飛沫が便器の周囲に飛び散ってしまうのを防ぐ為、フタを閉めた上で流すようにしましょう。
更に注意するならば、ウォシュレットのご利用も便座周囲に目に見えない水しぶきと共にウイルスを飛び散らせてしまう恐れがありますので、出来れば利用を控えるのが良いと思われます。

徹底した対処で家族を守る

ご家族の一人がノロウイルスに感染してしまった事が判明した場合、他のご家族に真っ先に行って頂きたいのは、まだご自身が健康な内に今回ご紹介したようなノロウイルスの殺菌・消毒対策を実践して出来る限り被害拡大を防ぐ事に尽力する事です。

ここを怠ってしまった場合、家屋の中はノロウイルスの独壇場となってしまい、容赦なく私達に猛威を振るうようになってしまいますので、ご家族が安心して家で生活出来るよう是非とも早急に対策へと乗り出していきましょう!

タイトルとURLをコピーしました