『世界初 ノロウイルスを捕らえる腸内細菌を発見』
出典:北海道大学プレスリリース(2013/06/28)
http://www.hokudai.ac.jp/news/130628_pr_eng.pdf
免疫機能による防衛が難しく、ワクチンも現時点では存在していないという厄介な性質を持つノロウイルスにひとたび体の中に侵入されてしまえば、基本的に人は成す術無く感染症の猛威に晒され耐え抜かなければならないとこれまでは考えられていましたが、今回はそれを覆す可能性を感じさせてくれるニュースをご紹介致します。
ノロウイルスをキャッチし体外へ排出する細菌
2013年6月28日、北海道大学の佐野大輔准教授が参加する研究グループが、人体の腸内細菌の中にノロウイルスを捕まえる性質を持ったものが存在していた事を発見したと発表しました。
ノロウイルスは人の小腸の表面細胞に好んで吸着する性質を持っているのですが、今回研究グループが発見した腸内細菌は、その表面構造が人体の小腸の表面細胞と似ている為、ノロウイルスを効率的に自身の表面に吸着させる事が出来るそうです。
この腸内細菌は人間の大便に生息しているとされているのですが、ノロウイルスに感染している人の排泄物にウイルスが大量に含まれているのは、このような腸内細菌がノロウイルスを自身に吸着させて取り込み、大便と共に体外に排出された結果なのではないかと指摘されています。
これは要するに体内で増殖して暴れ回ろうとするノロウイルスに対して、人体がこれらを排除して体外に排出するメカニズムを腸内に備えているという事の証明にもなるのでないかと思われます。
※ノロウイルス感染時の症状には人によって差異が見られるケースがあるそうですが、それはもしかしたらこういった腸内細菌の活躍の度合いによるものかも?
また、この腸内細菌の特性を利用する事で、ノロウイルスを含む下水によって汚染されてしまった河口付近の水質を浄化する為に役立てる事が期待出来るのではないかとも考えられているようですので、今後の研究の順調な進展を願わずにはいられませんね!