ロタウイルスとノロウイルスの違い

ノロウイルスはTV等でも取り上げられる事が多い為、良く知られた存在であるかとは思いますが、一方で小さいお子様のいらっしゃらないご家庭の方の場合は「ロタウイルス」というの名前に聞き覚えのある人は比較的少ないのではないかと思います。

このロタウイルスに感染するとノロウイルスと似たように重い胃腸炎を発症するのですが、その最たる特徴としては主に幼児における感染率が非常に高い事で知られており、ロタウイルスは小さいお子様のいらっしゃる親御さんにとっては大変悩ましい存在なのです。

小さなお子様の大敵「ロタウイルス」

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ロタウイルスによる感染症は主に0~5歳程度の幼児における発症例が多く、とりわけ6ヶ月~2歳頃において罹患率が特に高い傾向にあります。

また、ノロウイルスと違いロタウイルスは大人は発症しにくいとされています。
これは大人の場合はかつて幼少期に罹患した際のロタウイルスに対する免疫が出来上がっている為で、ノロウイルスと違いロタウイルスへの免疫はすぐに消えたりせず長く維持し続けられるのです。
※とはいえロタウイルスの型が違っていると免疫が効かない為、大人でも時折感染する事があります。

ともあれロタウイルスは子供に対しては非常に感染力が強いウイルスなのですが、体内での増殖の勢いも非常に強く、ロタウイルス感染症を発症した幼児の排泄物には1グラムあたり1000億~1兆程のウイルスが含まれているとされていて、これはノロウイルスの場合と比しても格段に多い割合であると考えられます。
また、ノロウイルスと同じく100個程度のほんの僅かなウイルスが腸内に入るだけでも
あっという間に腸内で増えて感染症を引き起こしてしまうとされています。

子供をピンポイントで狙ってくるロタウイルスはその特性上、子供にとってはノロウイルス以上に警戒すべき存在です。
現に医療設備の整っていない発展途上国等では幼児の死因の上位に上げられる事のある恐ろしい病なのです。

とにかく子供同士で感染拡大し易い

ロタウイルスの感染経路としては幼稚園・保育園等における、お子様同士からの感染が多いとされています。

例えばロタウイルスに感染していたお子様が潜伏期間を過ぎて園内で感染症状を発症してしまった場合、小さい子供は吐き気をこらえるのがまだ難しく、他の子供達が集まっている場所でも嘔吐してしまいウイルスを含んだ飛沫を周囲に拡散させてしまう事が多い為、保育士によって速やかに嘔吐物の適切な処理が出来ない場合はその場にいる子供達へと一気に感染が拡大して行き易いのです。

また、感染への予防対策となる手洗いの徹底もお子様が小さい時期はまだ十分に徹底させる事が難しい為、お子様同士の手を介した接触感染等の機会も頻繁に発生してしまいます。

ロタウイルスの特徴とは?

流行時期

ノロウイルスよりも少しズレており、2~5月にかけてがピークとされています。

潜伏期間

一般的には2~4日間とされています。

症状

  • 酸っぱい臭いのする白っぽい水のような下痢
  • 頻繁な嘔吐
  • 38℃程の高熱
  • 長期間の下痢症状によるお尻のただれ

発症期間

2~3日で症状が治まるノロウイルスと違い、ロタウイルスは長期間症状が続く場合があり、一般的には1週間程続くとされています。

合併症の危険

原因は解明されていませんがロタウイルス感染時は胃腸炎症状の程度や脱水症状の有無に関わらずいきなり痙攣や意識障害を伴う急性脳炎を併発する場合があるようです。
また、その内の何割かは回復後も麻痺を伴う後遺症が残る場合があるとされています。

脱水症状・電解質不足に注意!

もしもノロウイルスに感染したら『水分補給編』の記事でも紹介しているように、ロタウイルスのような強い胃腸炎を伴う感染症を罹患した場合は、水分と電解質の補給が治療のキーポイントとなります。

ですが小さいお子様の場合は症状の苦しさの為に自力で水分や電解質を適切に補給する事が難しく、親御さんがサポートしたとしても落ち着いて上手く補給出来ない場合が多々あります。

ですがロタウイルス感染症はノロウイルスの時と同じく脱水症状・電解質不足によって重体化し易い病気ですので、最悪の場合は合併症による内臓疾患にまで発展し、命の危険の可能性まで出てきてしまいます。

ですので自宅療養をしようとしてお子様が脱水症状に陥り夜中に緊急入院といった事になってしまわないよう、親御さんにてお子様に上手く水分や電解質を補給させるのが難しい場合は迷わず病院に入院し、点滴を受けて脱水症状を防ぐ形での治療に切り替えるようにしましょう。

特効薬は無いが予防接種のワクチンはある

ノロウイルスと同じくロタウイルスも一旦感染してしまってからの特効薬は未だ存在しないのが現状なのですが、実はロタウイルスには有効性の認められている予防接種のワクチンが存在しています。
これは2011年11月頃から国内での摂取が許可されたものなのですが、注射ではなく経口摂取タイプのワクチンとなります。

ちなみにワクチンを摂取出来る年齢は厳密に定められていまして、主にお子様が生後6週から24週未満、或いは32週未満までの間に規定の回数の摂取を完了させないといけない決まりとなっております。

このようにワクチンの摂取時のルールが厳密に定められているのは理由がありまして、ワクチンの摂取時に腸重積症という腸閉塞の一種を引き起こしてしまうケースが国外にて過去に発生した事があった為、そのリスクを減らす為にお子様の体がまだ腸重積症を起こしにくいとされている時期だけに絞ってワクチンの摂取を許可するよう国が定めているからです。

基本的な予防対策はノロウイルスと同じ

以上、ロタウイルスとノロウイルスの違いについてご紹介させて頂きましたが、お子様をターゲットとしてくる悪質なウイルスであるという点以外はノロウイルスと特徴が似通っており、基本的な予防方法もほぼ同じではありますので、下記の記事を参考に是非予防に努めていきましょう!

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